SNSコンサルティング会社(株式会社LocalSquare)COOの大河内さんは「SNSマーケティングをうまく活用できれば必ず売上に繋がる」と断言する。
近年、Twitter、Instagram、TikTokなどのSNSが乱立する中、活用方法やその効果に頭を悩ませる広報担当者も多いことでしょう。
そこで本記事では、大河内さんにSNSマーケティングの効果、予算、運用方法についてお伺いしました。
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大河内氏の自己紹介
株式会社LocalSquareCOOの大河内と申します。
これまで国内外100社以上のクライアントに対して、SNSを通じたプロモーション支援を提供してきました。
Instagram、Twitter、Facebook、TikTok、YouTubeをはじめ、中国では、RED、百度贴吧(Baidu Tieba)、Weibo、Wechatのプロモーションも扱っています。
旬なSNSは全部扱っており、企画から実行まで幅広くやっています。
SNSマーケティングとは?
SNSマーケティングを行うときには、「①ブランド認知の向上(ブランディング)」か「②購買につなげて売り上げをあげる」のどちらをゴールに設定するかを決めます。
どちらも定量的なゴールを設定したうえで、「この目標を達成させるためのCPR、CVRを稼ぐにはこのくらいのリーチが必要ですよね」とKPIを設定します。
ブランディングに関してはどのくらいのリーチを達成するかを半年間での規模で考えてもらってKPIを提案します。
ただ、認知を拡大することにつながったとしても、コンバージョンといったKPIの達成をかならずしもできるわけではないじゃないですか。
売上向上が目的の場合は、SNS経由でどれくらい売上につながったかを定量的にウォッチしながら運用します。
運用の依頼が多いSNSは何ですか?
そうですね。最近はInstagramの問い合わせが多いですね。やっぱり市場規模の大きさが影響していると思います。
TwitterとInstagramはどう違いますか?
Instagramはファンコミュニティをつくって長期的にユーザーを育てていくSNSだと思います。
それに対してTwitterはリツイート機能が特徴的ですが、拡散力が強いので、簡単にいってしまうと炎上メディアであり、バズメディアという風に考えています。
拡散の即効性がInstagramとの大きな違いだと思います。
もちろんフォロワーとしてのファンとのコミュケーションはありますが、コンテンツを仕掛けてバズを生み出すのは、Twitterのが強いですね。
Instagramがコミュニティを作りやすいのはなんででしょうか?
それはInstagramの#(ハッシュタグ)の機能が強いですね。よくママさんのコミュニティとかがあるじゃないですか。おしゃれなランチであったりお弁当であったりです。そういう人たちがInstagramの#機能を使い互いをフォローすることで、コミュニティを作成しています。
Twitterにももちろん#機能は存在しますが、文化として定着していないのでその点がInstagramでのコミュニティ形成につながっているのかなと思います。
参考になるSNSアカウント
SNSアカウントではBOTANISTさんやママリさんなどを参考にしています。
BOTANISTさんはいろいろなメーカーさんが発信の面で追いかけていたりするのですが、特にクリエイティブ性が強いアカウントで、ストーリー性を組み込んだり比較的ブランディング要素の強いアカウントになっています。
そういう意味でもファンとのコミュニケーションも事業の一貫として運営していて、ブランディングの表現をストーリー性と組み合わせながらしていくのがうまいかなって思います。
ママリさんはInstagram上でバズ系のことをやっている珍しいメディアで、最近ではフォロワーとのビンゴ大会なんかがバズっていたりしていましたね。
ママリさん自体の投稿はママ系のことを発信するメディアで運営をしていて、ビンゴではママの悩み事についてのビンゴを行っていて、だれでも共感できるようなゲーム性のある投稿をしていました。
SNSマーケティングと相性が良い業界
エンドユーザー向けの商材はやっぱり相性はいいですね。いわゆるtoCは相性がいいです。
toBの業界は会社に対する営業メインがリソースになるので、コンバージョンするのは難しいのですが、サービスの認知やブランディングの面では非常に有効です。
SNSはやっぱり若者向けになってしまうんですか?
実際にそんなことはなくて意外にも40代、50代とかも幅広く網羅しています。
40代、50代向けの漢方薬のSNSマーケティングを手伝ったこともあります。
SNSの「バズ」は再現できるか?
できます。コアノウハウの部分なので言えないこともあるのですが、基本的にはマーケティングのシンプルなやり方と一緒だと思っています。
いわゆるペルソナの設定であったり、カスタマージャーニーマップみたいな形でカンタンに流れを決めるという基本的なことからはじめます。
ユーザーにどのタイミングで何をしてほしいかっていうのを、あらかじめこちらで決めたうえで、全て計算ずくでアクションを促します。
また初期に広告をつかうのかインフルエンサーを使うのかを考えますが、今は、広告を使うよりも影響力のあるインフルエンサーに頼むほうがバズりやすいです。
「バズ」を生むのに最も手っ取り早いのが、なんだかんだ言って、発信力のある人にコンテンツを発信してもらうことです。
元々ファンを抱えていて、ファンの熱狂度が違うので拡散力があります。
インフルエンサーはどのように決めていくんですか?
実は、もうほとんどこの商材にはこのインフルエンサーといったある種、定番のキャスティングのようなものができています。
今は、いいねも簡単に購入することもできるので、インフルエンサーといっても玉石混交な状態です。
本当に全く知らないインフルエンサーに依頼するとはあまりなくて、一定の信頼があるインフルエンサーに依頼が集約している状況です。
SNSは売上につながるのか
SNSマーケティングは売り上げにつながります。SNS経由の売上が、SEO経由の売上を抜いたケースもあります。
例えば、これまでSEOやweb広告をメインの集客としていた、写真スタジオさんにInstagramでの集客を依頼されました。
まず投稿内容やスケジュールを設計、ターゲット特定、ハッシュタグの設定などをしました。
今ではInstagramからの集客が一番大きく大体月150件ぐらいの問い合わせのうち60件ぐらいがInstagramからになりました。
LAWSONのマーケティング戦略
ローソンさんです。ローソンさんはマス広告を辞めたことで有名です。
SNSとマス広告のを比較したらSNSのほうがコスパいいよねってことでSNSに振り切りましたね。
テレビの効果ってやっぱり強いんですけど、見えづらいので難しいんですよ。
ローソンさんほどでかくなると認知していない人はもうあまりいませんから、社名よりも新商品を知ってもらうことのほうが重要です。
SNSマーケティングの「予算」と「期間」
Twitterの1アカウント系だと相場としては月25万~45万くらいだと思います。半年は見てもらっています。
逆にSNSマーケティングはなんだかんだ範囲は広いんでもし広告やインフルエンサーマーケティングを併用していくのであれば1か月くらいでも効果は表れると思います。なので即効性は比較的高いと思います。
まあどれくらいの頻度で投稿するかによって変わってくるので一概には言えませんね。あとインフルエンサーマーケティングを行うのであればトータルで数百万単位が必要になってきます。
アカウントはある程度育ってしまえば、資産になっていきますよね?
そうですね。そう考えてもらえばオウンドメディアと比べてもらっても費用対効果は高くなっていると思います。でもやっぱりリテラシー部分などの障壁が高いので、「本当に効果がでるのかわからない」「まだリスティング広告がいい」というお客さまには長期的な説得も必要になってきます。
SNSマーケティングの市場価値的今上がってきているところはありますね。最近では社内にSNSマーケティングをできる人材を育成する事業もやっています。
ある程度自動的にユーザーを獲得できるようになるまではどのくらいかかるんですか?
ユーザーを獲得しているかが判断をするのが最近難しくなってきていて、TwitterとかだとURLを張ることができるので比較的簡単に視覚化することができるのですが、InstagramだとストーリーにURLが貼れるようになるのがフォロワー数10,000人になってからや、投稿にはURLを貼ることはできない、そしてURLはプロフィール欄にのみ貼ることができるといった制約があるので、わかりやすい指標としては約10,000人ですかね。もちろん500人とかでも集客できているところもあるので一概には言えないのが実情ですね。
1からアカウントを育ててい行くのはインフルエンサーさんを活用していくのがいいんですか?
使ったほうがいいと思います。初期は知名度がなくフォロワーが少ないので、そのアカウントが何言っても「まあそうか」程度にしかならないので。
フォロワーが多いところがいうのと少ないところがいうのでは説得力が違ってくるので、初速を出したいのであればインフルエンサーさんを使っていくべきだと思います。
質の高いフォロワーの獲得や教育には方法などはあるんですか?
いわゆるフォロワーになってくれたけどどのくらい自分たちのことが好きなのかを可視化することって難しいじゃないですか。そういうロイヤルティが高いユーザーを可視化する方法があるんですよ。
それはシンプルでオリジナルの#タグを作ることです。これは自分たちのサービスや社名の#タグを投稿につけることでユーザーのロイヤルティを可視化することができます。
こうすることで自社の#タグをつけてくれるユーザーが現れるんですよ。こういうユーザーをリポストで紹介していくことで相乗効果でつけてくれる方が増えてきます。
自分たちの#タグを能動的に使ってくれる人が現れればその人たちってロイヤリティって高いじゃないですか。リポストの投稿件数を見れば大体のロイヤリティの高さが分かります。
弊社ではFrom.というメディアを運営しているのですが、大体3か月で15000人ぐらいのフォロワーを集めていて月間インプレッション数が900万くらいで、投稿件数が7000~8000ぐらい集まっていて「#タグをつけると投稿紹介するよ」というと#タグをつけてくれるユーザーが現れます。
これはリポストがメインでないメディアでも有効になってきます。Instagramのアカウントの世界観を壊すわけにはいかない方であれば、ストーリー機能を使うことで世界観を壊さず、メディアに掲載するとができます。
上層部の説得方法
これは伝え続けることしかできないですよね。これに関しては今使っているマーケティング方法を聞いてそれに対してSNSマーケティングをすることでそのくらいの利益に貢献できるかを伝えるしかないです。
そのロジックとかをしっかり伝えることができれば意外にも話を受け入れてくださる方も多いです。